日本写真測量学会 関西支部

第111回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会の報告


2021年12月3日(金)、>第111回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会の報告をオンラインにて開催しました。


『自律四足歩行ロボットを用いた三次元計測事例及び航空レーザ の海外技術動向事例』

株式会社ニコン・トリンブル 町田政彦 氏・昆野 敦 氏

講演資料:
http://www.jsprs-w.org/meetings/data/w0111_machida.pdf
http://www.jsprs-w.org/meetings/data/w0111_konno.pdf

自律四足歩行ロボット,地上型レーザスキャナ,点群,レーザ計測,航空機レーザスキャナ

 テクニカルセミナー/第111回空間情報話題交換会では、『自律四足歩行ロボットを用いた三次元計測事例及び航空レーザの海外技術動向事例』と題して、株式会社ニコン・トリンブルの町田政彦様・昆野敦様にご講演いただきました。

 はじめに町田様より不整地の自律歩行が可能な四足歩行ロボットに地上型レーザスキャナを組み合わせた三次元計測事例についてお話いただきました。
 この自律四足歩行ロボットはBoston Dynamics社製Spotであり、これまでに工事現場での記録写真撮影や電力設備の巡視点検といった様々な利用方法が検討されています。今回はその中から、建設現場での現地作業の省力省人化を目的として、Spotに地上型レーザスキャナを搭載して決められたルートを自律歩行しながら点群データを取得する活用事例を中心にお話いただきました。
 この中で、障害物のある不整地でも自律走行可能な四足歩行ロボットと、自動整準・キャリブレーションでの計測が可能な地上型レーザスキャナを組み合わせることにより、これまで人の手で行われていた地上型レーザスキャナの機材移動・設置、位置合わせのためのターゲット設置、計測作業といった現地作業をロボットに担わせることができることを、海外での計測事例や国内での四足歩行ロボットの走行実験の映像を交えて解説していただきました。
 講演の締めくくりには、長期的な目標として、今回紹介していただいた自律型四足歩行ロボットについて、地上型レーザスキャナを搭載するだけでなく、ドアなどを操作できるロボットアームと組み合わせるなどして、建設現場でのさらなる省力化省人化の可能性を探っていきたいとの意気込みを語られました。

 

 続いて昆野様より海外における最新の航空機搭載型レーザスキャナの技術動向についてお話いただきました。
 本講演では昆野様が日本での販売に関わっておられるTeledyne Optech社製機材の紹介を中心に、グリーンレーザを使用した航空レーザ測深機と近赤外線波長帯を使用した航空機搭載型レーザスキャナについて最新の海外事情を紹介していただきました。
 講演前半は航空レーザ測深機の最新機材CZMIL SuperNovaについてのお話で、従来製品のSHOALS-3000よりも深い水深での計測が可能で、透明度が高いところでは最大70m、標準的な透明度でも30m程度までの測深ができるとのことでした。実際に民間で航空機セスナ208に搭載して計測した海外での事例を紹介していただきました。
 後半では近赤外線波長帯を使用した航空機搭載型レーザスキャナについてお話いただきました。現在、海外の製造メーカ各社はよりレーザ発射頻度(パルスレート:単位Hz)が高い機材の開発・販売を進めており、Teledyne Optech社でもパルスレート2MHzのレーザスキャナを二台連携させて計測するG2センサーシステムという機材を扱っているとのことでした。 この機材は二台同時計測により最大パルスレート4MHzでの高密度計測ができる他、二台を前後方向に傾けて設置することにより地物側面も計測する、一台は飛行コースの中心付近を狭く高密度で、もう一台で周辺を広く低密度で計測するといった利用も可能であることを実際の計測事例を挙げながら解説していただきました。

 講演後には、町田様の講演に対しては、四足歩行ロボットによる三次元計測での四足歩行のメリットや点群データの位置合わせ原理についての質問、昆野様の講演に対しては、G2センサーシステムについて、レーザスキャナ二台で同時計測することのメリットや計測時の二台の時間同期の仕方の質問などが挙がり、活発な質疑応答が行われました。

 ご講演いただきました町田様・昆野様にはこの場を借りてお礼申しあげます。