日本写真測量学会 関西支部

第132回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会の報告


2025年12月5日(金)、大阪公立大学 I-siteなんば に於いて第132回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会を開催しました。


『海外での地形図作成に係る課題とその解決に関する考察 ―ODAの視点から―』

エアロトヨタ株式会社 杉森 純子 様

講演資料:講演終了1年後に掲載予定

 テクニカルセミナー/第132回空間情報話題交換会では、『海外での地形図作成に係る課題とその解決に関する考察 ―ODAの視点から―』と題して、エアロトヨタ株式会社の杉森純子様にご講演いただきました。

 本講演では、日本のODA(政府開発援助)によるカザフスタン共和国とキルギス共和国における地形図作成プロジェクトでの杉森様の実体験に基づき、その背景や実情についての話題提供がありました。
 初めに、日本のODA(政府開発援助)について紹介がありました。ODAは平和構築や経済発展への貢献を目的としており、地形図作成はその基盤となる「技術協力」の一環として実施されていることが説明されました。
 続いて、対象国であるカザフスタンとキルギスにおける特有の課題が紹介されました。両国では測量技術が1970年代の水準で止まっており、最新の地形図が存在しないか、軍事機密として扱われている現状がありました。杉森様は、プロジェクトで直面した「6つの問題点」(旧版地図の入手困難、航空写真撮影の不許可、軍事用途に偏った図式、紙地図表現の限界、地図リテラシーの不足、地形図の公開制限)を挙げ、特に旧ソ連時代の図式が軍事目的に特化しており、平和利用の障壁となっていた背景を解説されました。その上で、これらの課題への解決策の事例として、平和利用を前提とした新たな図式の作成、衛星画像を重ねた「写真地図」による住民参加型防災マップの作成などを紹介されました。
 最後に、今後の展望として、地図を単なる測量成果物ではなく、利用されてこそ価値がある「空間情報」へと発想を転換する必要性を強調するとともに、「地図が自由に見られることは、平和と自由の証である」という言葉で講演を締めくくられました。

 ご講演いただきました杉森様にはこの場を借りてお礼申し上げます。


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。