日本写真測量学会 関西支部

第104回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会の報告


2020年12月4日(金)、テクニカルセミナー/第104回空間情報話題交換会をオンラインにて開催しました。


『衛星搭載型光学センサデータの高品質化と天然色画像生成技術の開発に関する研究』

産業技術総合研究所・地質情報研究部門 山本浩万 氏

講演資料:
http://www.jsprs-w.org/meetings/data/w0104_yamatomo.pdf

衛星搭載型光学センサ、代替校正、校正検証、大気補正、天然色画像

 第104回テクニカルセミナー・空間情報話題交換会では,「衛星搭載型光学センサデータの高品質化と天然色画像生成技術の開発に関する研究」と題して,産業技術総合研究所・地質情報研究部門の山本さまにオンラインにてご講演いただきました.ご講演では人工衛星に搭載された光学センサから取得したデータの代替校正等についての「高品質化技術」と,既存の衛星データを多くのユーザーが使いやすいデータとなるよう開発されてきた「天然色画像生成技術」に関してご紹介いただきました.

 「高品質化技術」については,資源探査などに用いられてきた光学センサのこれまでの開発状況や人工衛星に搭載されることにより生じる取得データの誤差要因についてご解説いただいた上で,実際のテストサイトでの代替校正の実験例を多くの写真や計測結果を用いてご説明いただきました.テストサイトの選定には年間の雲の状況や安全に作業できる環境かどうかなどを事前に確認しておくことが重要であることなど,実際の現地作業の苦労話を交えたお話もありました.なお,今年度の校正作業では,コロナ禍で渡航が困難であったことなどもあり,自動観測されたデータをインターネット上で入手できるRadiometric Calibration Network (RadCalNet) における計測結果を採用されています.今後は,RadCalNetから得られる計測結果とこれまでの現地計測手法での計測結果との相違や相互の補完の可能性について分析されることも予定されているそうです.

 次に「天然色画像生成技術」についてお話いただきました.Terra ASTERなどの光学センサでは,センサの設計上,青色の波長帯を観測していないものも多く,得られたデータを色の三原色であるRGB表示した場合では,不自然な色調になるため,一般ユーザーがGISの背景として使用しようとする場合などにおいて適さない面もありました。ご講演での天然色画像生成技術では,緑・赤・近赤外の波長帯の観測結果やMODISの観測結果を基に機械学習により青色波長帯の反射率を推定することで,人間の目で見た場合と同じような色調で観測結果を視認できるよう補正されています.ASTERデータの天然色画像は 産総研のHP 産総研のHPにおいて閲覧・取得することができます.2012年版の全球画像が完成しており,現在は2018年版全球画像も作成されているそうです.さらに,天然画像生成技術はASTERだけではなく,他の衛星データにも適用が可能であり,今後多くの衛星データがより広く使えるようになることが期待されます.

 ご講演の後の質疑では,これまでの現地計測の事例の詳細や今後の展望についてなど聴講者を交えた活発な意見交換がありました.

 ご講演いただきました山本さまにはこの場を借りてお礼申しあげます.


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。