日本写真測量学会 関西支部

第103回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会の報告


2020年2月7日(金)、大阪府立大学 I-siteなんば においてテクニカルセミナー/第103回空間情報話題交換会を開催しました。


『オープンデータ×オープンソース 〜流行っているからこそ知っておきたい現状と可能性〜』

朝日航洋株式会社 G空間研究所 大伴 真吾 氏

講演資料:
http://www.jsprs-w.org/meetings/data/w0103_ootomo.pdf

オープンデータ、オープンソースソフトウェア、G空間情報センター

 第103回テクニカルセミナー・空間情報話題交換会では,「オープンデータ×オープンソース〜流行っているからこそ知っておきたい現状と可能性〜」と題して,朝日航洋株式会社の大伴さまにご講演いただきました

 近年,統計データなどを基とした,効果的・効率的な政策運営をめざすEBPM(Evidence Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)が政府の行政改革の一つとして推進されています.EBPMを進めるにあたり,これまで各自治体などが保有・整備してきたデータを公開すること,そして,公開されたデータをいかに活用するかが重要となります.

 ご講演では,オープンデータの定義から「端的な見返りを求めるのではなく,社会全体が良くなることに資することがオープンデータ公開の目的」といったオープンデータを公開することの意義について,朝日航洋株式会社での事例などを交えてご解説いただきました.また,実際にオープンデータを公開する・利用する際にはライセンスに注意する必要があり, 具体例としてクリエイティブ・コモンズのライセンス表示方法についてご説明いただきました.

 オープンデータを入手するためのサイトに「G空間情報センター:https://www.geospatial.jp/gp_front/」があります. サイトには,2020年2月時点で約5,500データセットが登録されています. これまでは,代理店を通じて入手してきたデータや入手の際に各省庁への申請等が必要であったデータもWeb上で入手できるようになっているそうです. G空間情報センターではオープンデータ取得のAPIも公開されるなど,オープンデータを容易に活用できる環境構築に努められています.

 オープンデータを利用するソフトとして,ご講演では特にQGISを取り上げてご紹介いただきました.QGISはGRASS GISやR,SAGA GISなどといった他のソフトと連携できるのが特徴で,世界的にその関心が年々高まってきているそうです. オープンデータとQGISといったツールが掛け合わされることで,現在ではハザードマップなどが容易に作成できる環境が整ってきているなど,国内においてもオープンデータから社会全体に還元される新たな価値が生まれてきています.

 ご講演を受けて会場からは,オープンデータの精度の取り扱いやQGISを長期的に使用できるバージョン,マニュアルの整備・整理方法についての質問など活発な議論がみられました.

 ご講演いただきました大伴さまにはこの場を借りてお礼申しあげます.


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。