日本写真測量学会 関西支部

平成30年度支部総会・特別講演会 テクニカルセミナー/第95回空間情報話題交換会の報告


2018年6月29日(金)、大阪府立大学 I-siteなんば において平成30年度支部総会・特別講演会 テクニカルセミナー/第95回空間情報話題交換会を開催しました。


『地籍調査の課題-市町村へのメッセージ』

東京大学 清水英範 氏

講演資料:
http://www.jsprs-w.org/meetings/data/w0095_shimizu.pdf

 第37回支部総会に伴う特別講演会(第95回テクニカルセミナー・空間情報話題交換会)を 東京大学の清水氏と株式会社パスコの柳川氏を講師に迎え,開催しました.

 はじめに,清水氏にご登壇いただき,「地籍調査の課題-市町村へのメッセージ」と題して, 地籍調査の位置づけや日本国内の地籍調査の実態,そして,「いま,市町村は何をすべきか」についてご講演いただきました.

 地籍調査は,土地の戸籍とも言うべき地籍の明確化を図るために行う調査であり,不動産(土地)登記や土地税制など, 土地の権利に関わるあらゆる行政,そして関連する社会・経済活動を根幹で支える土地に関する最も基礎的かつ重要な調査です. ご講演では,災害復旧・復興や都市再生(都市再開発)での事例を基に,地籍調査の意義や効果についてご説明いただきました.

 社会のインフラとも言える地籍調査ですが,わが国の地籍調査の進捗率は52%(調査に未着手または現在調査を休止中の市町村は全体の25%)に過ぎず, 特に南海トラフ巨大地震や首都直下地震の被害想定地域には,地籍調査が特に遅れた地域が広がっていること, 山村部を中心に,全国には所有不明や筆界未定の土地が増えていること,都市部には地籍の問題と対峙せずに大規模な再開発を行える土地がもう残っていないことなど, 地籍調査が「待ったなし」の状態であることを, 国土交通省の 「地籍調査Webサイト」で公開されている各種データなどを基にご解説いただきました.

 そして,現在,調査が遅れている市町村は「地籍整備の実態を知り,危機感を持つこと」,「国の支援策を理解し,積極的に活用すること」, 「地元の法務局や関係団体の力を借りて密接に連携すること」, 「市民やマスコミに対して,積極的に広報・啓発活動を行うこと」が必要であるとご紹介いただきました.

 ご講演いただきました清水様には,この場を借りてお礼申しあげます.


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。