日本写真測量学会 関西支部

テクニカルセミナー/第83回空間情報話題交換会の報告


2016年2月12日(金)、常翔学園・大阪センターにおいてテクニカルセミナー/第83回空間情報話題交換会を開催しました。


『見てるかを見える化 視線追跡装置 −屋外広告物条例制定にむけた広告物の影響把握−』

大阪府立大学工業高等専門学校 山野 高志 氏

講演資料:
http://www.jsprs-w.org/meetings/data/w0083_yamano.pdf

視線追跡装置,可視化,注視頻度,景観計画,屋外広告物

 第83回テクニカルセミナーでは、大阪府立大学工業高等専門学校山野高志氏にご講演頂きました。

 はじめに、これまで取り組まれた研究の概要と、本講演のタイトルである「見てるかを見える化」という研究に至った経緯について、 お話し頂きました。山野氏は、大学院時代に、都市景観デザイン支援に関する研究に取り組まれ、 GISによる景観分析とCGによるシミュレーションの利用検討や、3次元都市モデリング手法の開発に携われてこられました。 現在では、GISの可視・不可視解析だけでは定量化が難しい“見てる”に着目し、その定量化に関する研究に取り組まれています。

 “見てる”の定量化では、瞳の動きから視点位置座標を取得できる視線追跡装置を用いて“見てる”対象とその時間を把握し、 被験者へのアンケート等による景観の印象調査と併せて“見てる”に影響する要因を定量的に分析する手法について検討されました。 そして実際に、密集商店街の広告物を対象に本手法を適用したケーススタディを紹介されました。 被験者の視線の動きと広告物から受ける印象のアンケート調査結果から、 彩度の高い広告物が見ている人へ影響することを定量的に示して頂きました。 また、こうした研究を通じて、視線追跡装置を用いた“見てる”の定量化手法が、 屋外広告物の規制基準の制定にもつなげられるであろうことも示して頂きました。

 最後に今後の構想として、視線追跡装置から得られた“見てる”の時間から、 “ぼんやりと眺めている”か、あるいは“意識して注視している”かの判別を加えることで、 “見てる”の定量化による分析を深めていく考えをお話し頂きました。 さらに、本手法を景観計画やそれ以外の分野に適用することで、 新しい研究につながるとの考えもお示し頂き、ご講演を締めくくられました。

 ご講演頂きました山野様には、この場を借りてお礼申し上げます。


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。