日本写真測量学会 関西支部

テクニカルセミナー/第65回空間情報話題交換会の報告


2012年6月29日(金)、常翔学園・大阪センターにおいてテクニカルセミナー/第65回空間情報話題交換会を開催しました。

今回は、『空の状態観測手法を応用した地上の光環境解析と広域展開への可能性』と題して近畿測量専門学校の山下様からご講演を頂きました。


『空の状態観測手法を応用した地上の光環境解析と広域展開への可能性』

近畿測量専門学校 山下 恵

近畿測量専門学校の山下様には、『空の状態観測手法を応用した地上の光環境解析と広域展開への可能性』と題してご講演頂きました。山下様は、合成有効放射(PAR)と呼ばれる光エネルギーの特性把握および推定を行うための研究を行なっています。PARは、直達PARと散乱PARの2つに大別でき、特に散乱PARは、植物の活性状態など、陸域生態系における重要な指標と言われています。PARの計測は直達放射計と散乱放射計と呼ばれる計測機器によって計測されますが、雲や大気の状態など、PARの計測状況に関わる「空の状態」については、自動化がされておらず目視に頼っているのが現状です。この問題に対して、山下様は、人の目に代わって市販のデジタルカメラによって空の状態を観察する方法を開発しています。今回のご講演でご紹介頂いた方法は、空の「青さ」と「白さ」を示す「Sky Index(SI)」と、空の「明るさ」を示す「Brightness Index(BI)」の2つの指標を定義し、この2つの指標を用いて空の状態を表現する方法です。この指標を用いることで、「晴れの状態」、「太陽の状態」、「天空の明るさの状態」を判別することができ、結果として空の状態を最大で27の分類によって表すことができるそうです。さらに、年間南中時データを用いて14に分類した「空の状態」とこれに対応するPARを用いることで、他の全天画像のPARを推定することができるそうです。結果として、推定値は従来よりも短い観測スパンで、高精度な推定が行えるそうです。空の状態は、植物の活性状態など環境に関わる問題や、昨今話題に登っている太陽光発電の問題など、様々な問題に関わっており、山下の研究を通しては、空の観察について新しい見方を得ることができました。ご講演いただいた山下様には、この場を借りて御礼申し上げます。


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。